• vol.1285 中世のタッセル

    2020.4.24

    気になる本を読みあさっている日々。 ずっと気になっていた塩野七生さんの本の数々。 塩野さんと言えば、イタリアの歴史を知り尽くした方として有名ですが、教科書には載ってない歴史の裏側を、彼女特有の文体で記述している文章にどんどん引き込まれていく魅力がある。  (きっとご本人も素敵な人なんだろうなぁ~と想像します。)  読みながら、ちょっと待てよ。 途中からちょっと読む角度を変えてくれたのは、下記の本の一文(青字)。 これを端緒に、是非皆さんとも共有したいなぁと思ってまとめたコラムです。

     

     

    ◆イタリアに持ち込まれたパスマントリー

    『フランス手仕事、名品の物語, マリー・アントワネットが愛した職人技』(石澤季里著, 2018年3月)が出版されている。 きっと手仕事がお好きな人は読まれているかもしれませんね。 刺繍に始まる全12章からなるものであるが、第3章に「タッセル(パスマントリー):視線を集める格あるアクセサリーが記述されている。 その中の一文『十字軍が、1204年に首都コンスタンティンノーブルに攻め込み、絹のパスマントリーを持ち帰った』。との一行の説明がある。

     

     

    ◆ヴェネツィア商人の活躍

    ・この時代はどんな背景があるのでしょうか。 キリスト教ローマ軍が、イスラム教徒に抑えられていたエルサレムを奪還するために派遣された十字軍のお話しは、中学の教科書にも出てきますね。

    ・兵隊の海上輸送を担ったのがヴェネツィア商人たち。 しかしその代金が支払われないとわかると、ヴェネツィア商人たちは地中海でしのぎを削る商人たちのいるコンスタンティンノープル(現イスタンブール)に攻め入ることを要求、拠点を手中にします。 参考: histrace.com

    ・この狙いは、黒海の通商路が開けるとともに、黒海沿岸の魅力的市場が手に入ることでもあるからなのです。 沿岸との交易は、西欧の人々が欲しがるペルシアの絹、香辛料、真珠、ダマスカス産の絹織物(ブロケード)、藍色の染料等を直接買い求め西欧他国に販売。 輸入品はもっぱら原毛。 原毛はヴェネツィアやフィレンツェで高級織物にし、また持っていって売るのである。 ヴェネツィア商業は、仲介貿易を基本としていた。 参考: 『海の都の物語2』塩野七生著

     

    ◆ 略奪品

    ・さて、この第四次十字軍の兵士のほとんどが、フランス諸侯によって編成されています。 当初の行き先はエジプトだったのですが、出発後にヴェネツィアへの支払いができず、契約不履行を凌ぐために行き先を変更せざる負えず、コンスタンティンノーブルへと向かうことになったのです。 戦いは十字軍の勝利。

    ・十字軍は、当時の習慣に従って、部下の兵士たちに三日間の略奪を許します。 当然狙われたのは、金目のものが多くある教会。 豪華な掛け幕の縁飾りの金や、聖具室の金銀の盃等。 また立派な構えの家からは、金銀貨、銀器やじゅうたん、ビロードやブロケードの高価な服、絹や羅紗の布地からエルメリーノをはじめとする毛皮など。 参考、塩野著『海の都の物語1』     これらの略奪品の中には、きっと上記石澤氏がいう絹のパスマントリーも紛れていたかもしれません。 そして、フランス人兵士によつて、本国フランスに持ち帰ったということも十分考えられる話です。

     

     

     

     

    ◆中世のタッセル

    ・1200年代といえば、まだ中世と呼ばれる時代。 当時豪華な衣装を身に着けられる人は、高貴な立場にいる人や権力を手中にしている人たちである。 「イノセント3世(英語)と言えば、ローマ教会の権威と権力を最高にした法王であったと、高校の歴史教科書にも書かれていたことを思い出します」(塩野、ルネッサンスとは何だったのか P25) 

    ・ ラテン語名インノケンティウス3世は、1216年にローマ法王に就任している当時の人物です。 早速この人の写真を探してみましょう。 残念ですが、画像クレジットがかかって有料のようで、ここでは使えませんが、検索結果だけでも確認できます。  こちら→★   イノセント3世の横顔と、その紋章にアレンジされたタッセルを見て取ることができます。

     

     

    次回に続く・・・。

     

     

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